雨の日の imagination | ときど記 後記

雨の日の imagination

ここ数日の雨の中、クラムボン 『imagination』を聴いていると、一つのストーリーに気が付きました。


独特の語感が心地いい、歌詞の数々。



 一月の空から 降りしきる粉雪

 歩こう 僕のまちは 一晩で息を飲むほどに


 街路樹も自転車も 純白を着込んで

 きれい 僕のまちは この冬一番の冷え込み


― 「メロウトロン」



 雨が降って やんで 街に残る 湿った空気 だらしなさ わりと好き

 明け方の繁華街 店先はゴミ溜め 明日が袋づめ 山のように


― 「Y.S.G.R」



 異常気象8月 こんな街にも霧がやってきた

 濃い深い世界をやおらめちゃくちゃに走る


― 「タイムロス」



 おおっきなそら おおっきなそらに かぜが ふきこむ


― 「こだま」



 雨が ふった わたしの 家に

 雨が ふった あなたの 庭に


 海が笑いころげる

 海が笑いころげる

 かわいたあの街も

 水びたしだ


― 「5716」



 強い台風の 去ってった夜に

 高いビルの上から 街を眺めてた 

 風はまだすこし 移り気で 去り際のタイミングを つかみ損ねてる


 ...強い台風の 去ってった夜に

 高いビルの上から 街を眺めた

 僕はまだすこし 移り気で 去り際のタイミングを つかみ損ねてる


― 「Folklore」



雪、雨、大風が吹いて、そうして台風が過ぎ去った後のあの開放感が、

曲調と、曲を縦断した歌詞のストーリーに託されているのです。



1曲目「いってらっしゃい」に始まって、最後「おかえり」で終わるこの作品の中に、雨をめぐるもう一つのストーリーが隠されていることに気が付くと、この作品がいっそう愛しくなりました。


素敵です。