みなとみらい という島 | ときど記 後記

みなとみらい という島

横浜はみなとみらい21地区、ここの活気は途絶えることが無い。
日本有数のショッピング・モール、遊園地、映画館、歴史ある赤レンガ倉庫があり、海が広く、開けている。
人のあまりの多さと、客数の割に飲食店が少ないことにさえ目をつむれば、誰もが楽しめる場所と言えるのではないでしょうか。

みなとみらい地区は、しかし、いわば横浜市内の「孤島」だ。
「裏みなとみらい」とも呼ぶべき、横浜駅と桜木町駅の中間には、開発が中途半端に放り出された草っ原が広がり、遠くに見えるランドマーク・タワーやクイーンズモールのにぎわいをどこか虚ろに感じさせる。
みなとみらいから、桜木町駅を越えると野毛に出る。みなとみらい地区に客足を奪われた商店街があり、競馬場があり、暗い顔つきの中年の男性が大勢、煙草を口に、赤いマーカーと競馬新聞を手にしながら歩いている。道路も建物も不思議なほど、くすんでいる。
野毛からしばらく歩けば、寿町のドヤ街がある。ドヤ = 簡易宿泊施設、「宿(やど)」を逆さに読んだことば。日雇い労働者や失業者、何らかの理由で「社会」から締め出されてしまったひとたちが暮らす場所。あの中華街から歩いても4、5分の距離だ。

楽しいことはもちろん大切。でも、華やかな面ばかりを好むのは幼稚だ。
みなとみらいに日産の本社が移り、JICA(国際協力機構)の新しいオフィスが構えられ、でも、「みなとみらい島」の周辺にはきっと何も影響を与えない。
足を延ばせば全く違う世界が在るということを、もっと知らなければいけない。